はじめに
気がつけば、ぼくは立派なおやじになり、気がつけば、ぼくは古本屋の店主になっていました。
歳というもんは、生きていれば勝手に取るもんですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。これが、よくよく考えてみたのですが、よくわからないところがあります。まぁ、古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、思い返してみると、ぼくは子供の頃、読書というものがキライでした。
その最たる原因は、国語の授業です。
国語の授業では、自分が生きている時代とまったく関係のない時代の作品を読まされ、さらに、それについて読書感想文を書かされる!そもそも、過去の時代のさまざまなことに興味が湧くのは、「自分の時代に過去が出来てから」だと思うのです。しかし、ほとんどの子供には、夢のある未来はあっても、ほろ苦い過去なんてありません。失恋も借金も大病も、ほとんどの子供には無縁のものです。上司へのゴマすりだったり、嫁姑の仲裁だったり、税金の督促だったり、親の介護で悩むなんてこともありません。その手のことを経験して、ようやっと、ある時代との違いや、いつの世にも通底するものに興味を持つと思うのです。それにも関わらず、子供の頃から、古い時代の本を読まされ、挙げ句の果てに、その感想を述べなさい、という。そのせいもあってか、これによって、ぼくの読書ギライは、年を追うごとに加速するのでした。
そんなぼくも、大学生になり、ある時、ふと、あぁ、これで何も気にしなくていいんだという気持ちになりました。すると、不思議なことに、無性に本が読みたくなったのです!ぼくの読書好きは、こうして突然始まりました。しかし、過去のトラウマの影響なのか、どうしても、日本文学に手を出す勇気が湧きませんでした。なんせ、ぼくの頭の中では、日本文学=読書感想文ですから・・・
そして・・・
気がつけば、ぼくは立派なおやじになり、気がつけば、ぼくは古本屋の店主になっていました。失恋も病気も税金の督促も介護も経験しちゃいました。そして、いつしか、これでいいのかなぁ・・・いや、よくないよなぁ・・・という思いがふつふつと湧いてきたのです。
そこで決心をしました。おもいきって、日本文学を読んでみよう!どうせなら、読書感想文を書く気持ちで読んでしまえ!と・・・。とにかく、そのように割り切っちゃいました!そして、まぁ、手始めに、現代の手前の近代から手をつけてみようかな、と思いました・・・
それが、このブログを書くきっかけでございます。
いつまで続くかわかりませんが、どうぞお楽しみに!
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